研究日誌 * ぬくみE型の防水性を高める
昨年のエコプロダクツに向けて開発を行いようやく形になったぬくみE型を、正月より運用して検証しています。
1月1日、さっそう雪に見舞われました。この地域は積雪はあまりないのですが、草むらや建物屋根が白くなることは冬に数回あります。
気温は例年ほど低くはないものの、雨が6日、14~16日、26日に降りました。
朝によくこんな状況を見ることになりました。手前のぬくみE型は結構曇っています。それも正面側に集中しています。
過去、冬にぬくみちゃんの内側がこのように曇ることはありました。これは住宅の結露と同じで、ぬくみちゃん内の湿気が、外気により冷やされたアクリル面上で冷やされて出来るものと思います。
それにしても、奥側のぬくみB型は曇っていないのに、手前のぬくみE型が曇っているのはどういうことでしょうか。
アクリルとアルミ底板の間あたりに水滴がある!
こちらはなんだか色がついています。
写真は黒い集熱板の裏側に張った白色のスチレン板です。色のついた水濡れがあります。
どうやら水の侵入があったようですね。
ぬくみE型は入口側の水の侵入が少ないように、隙間のシールをしっかりしていたつもりが、どこかで防水が機能していないようです。
よく見るとアルミ底板とアクリルとをねじ止めしている場所は、完全には密着しておらず隙間がありません。アクリルにたわみが出来やすいようです。
しかし、むりやりねじ締めするとアクリル側が割れてしまうと思います。
対策として、アクリルとアルミ底板が接している場所にシリコングリスを塗布することにしました。信越化学工業のG501といって、樹脂ギア部分の潤滑に使われる、樹脂を侵すことのない種類です。
手塗りOKです。塗った後は、シリコン特有のつるつる感が手に残るので気になる人は手袋かヘラを使ってよいと思いますが、厚さの調整は手でやったほうが分かり易いかもしれません。
アルミ板にアクリル棒をねじ止めしている部分も毛細管現象で水が入っていそうでしたので、この間にもグリスを塗りました。
構造上隙間が出来る箇所にも、エプトシーラ(黒い耐候性のある隙間テープ材)を貼って隙間を埋めました。
取付台とアルミ底板を密着して固定していたのですが、もしかしたらねじ穴を通して、取付台の保護塗装で色のついた水が内部に吸い込まれたという可能性も否定できません。
台の色ににじみが有るのがそれらしいです。
スチレン板を4か所に張り付けてから、その上にぬくみちゃんを固定しました。
対策後は密閉度が高くなり、内側への水の侵入はかなり抑えられました。
ぬくみB型の場合は蓋の上側から水が結構入るのですが、ぬくみE型ではこれも阻止できるので、雨にはかなり強くなったといえるでしょう。
ぬくみちゃんは、やかんに水を入れて温めるのですが、やかんからの湯気でぬくみちゃんが曇ることはほとんどありません。一方ぬくみちゃん内が水で濡れている場合はそれが蒸発してアクリル内側が曇ることがよくあります。
ぬくみちゃん内部を濡らさない運用をする限りは、内部の曇りの影響を抑えられるのではないでしょうか。
さて、侵入していた水が汚れていたのは何なんでしょうね?エプトシーラを水に浸してこすりましたが、特に色が染み出ることもありませんでした。一方で木の取付台をティッシュでこすると、うっすらとですが茶色に着色しました。
汚れた水がねじ穴から上側に侵入したという可能性が高そうです。今回のように隙間を空けるか、シリコンコーキングなどで水を防ぐかで対策すべきでしょう。