エコプロダクツへの道(7)・・・ぬくみちゃんニューバージョンは間に合うのか?
前回の投稿からの続きです。
エコプロダクツへの道(6)・・・経営革新計画を作る
http://nukumi.net/?p=1897
さて、エコプロダクツ出展の目的の一つとして、
・展示会の時には、ちゃんと来場者の方に提案できるようなぬくみちゃんを作る
というのがありました。
ここまでいろんなものを作ってきました。ある程度商品の形としてまとまったのは
ガイガーカウンターとポータブル太陽電池くらいなものです。
それぞれを作る時に感じましたが、きちんと形にしてみると、何かしらそこまで気づかなかった不具合が出てきて、それへの対応作業が必要となります。ガイガーのバグだったり、太陽電池のケーブルの切れやすさだったり。
ぬくみちゃんについてはA型、B型においてのいろんな知見がありました。アクリル板同士で接着させて作る「アクリルのケース」として加工していたことにより、手荒に使うと接着部分が外れてしまいがちだったり、金具を付ける際にアクリル板にひずみが生じて雨侵入の原因になったり、取っ手までアクリルで作ると手が滑ってしまったり。
(A型。シンプルで綺麗だとは思っていますが、手加工でとてもコストがかかっています)
(B型。コストを抑えたタイプです。まさに「ケース」といった感じです)
また一連の実験によって、熱を集めやすい構造や材料はどういうものか?ということが分かってきましたし、一方でそのために導入した材料が実は水に弱かったりというトラブルもありました。
ぬくみE型はこれら現時点で分かっている不具合を解消したバージョンということになります。その解消の方法によってデザインが大きく左右されたため、プロダクトとしての美観についてどうなっているか、自分ではなんとも言い難いです。既に個人的には見慣れて愛着もありますが。
これまでの品と一番大きく違うのは、アクリルのカバー部を作る際に真空成型という手法を用いることです。
アクリルを含めた樹脂の成型においては、
・金型の中に溶けた材料を注入して行う「モールド成型」
・板状の材料をオスメスの金型でプレスして作る「プレス成型」
・オスかメスどちらかの金型に、温めて柔らかくした材料をあてがい、真空引きで金型に密着させて成型する「真空成型」
などがあります。
今回はアクリルでの量産に適した真空成型を用いました。
蓋は従来通り平板を加工してつくり、底板は固定の際に安心なアルミ板にしています。
これまでの品より使いやすさと耐久性が格段に高まっていると考えます。
設計時に難しかったのが、いつも仕事に用いているフリーの2次元CADで、真空成型用の構造を指示する図を描かないといけないことです。
各面からの図を描いて、伝わらないところは文面などで補足しました。
一応工場側で3Dにした時の図面を作っていただいたのですが、
うーん、分かるようなわからないような。綺麗なような角が立ちすぎなような。
でも、時間的にも技術的にもここから出来ることは精々微調整。
少しだけ調整をお願いして金型をお願いすることにしました。
金型代は相当かかります。アクリルの出来を綺麗にするために仕方ないのですが、
最安レベルの軽自動車が買えてしまうのではないでしょうか。
まあ、型が一旦出来ればその後の1枚1枚の単価は格段に下がるのですが。
アルミ板材を3か所に使ったのですが、これは発明起業塾のつながりで近くの金属加工会社さんにお願いしました。
難しい内容もあったと思いますが、加工技術の高い会社なので助かりました。
ここには年末の忙しい中対応頂いて助かったのですが、それ以外にも
環境教育用のアルミバッタの加工もしてもらったりと、年末ギリギリでいろいろとお世話になりました。
アクリル真空成型は、型の切削加工、後加工データ入力、テストピース加工で1か月ほど時間を要しました。
この手配に加えて、上のバッタを使ったエコ教室や、熊本でのイベント、そして月の半分を関西出張で過ごすなどとても慌ただしい11月でした。
そしてエコプロダクツへの出発が近づいた12/5にようやくアクリル型が届き、また前後してアルミ加工品も届いたので、材料が揃った後1日で慌ただしく組み立てを行い、翌日には航路に載せて東京に送ることが出来ました。本当にぎりぎりでした。
展示品はこのように何とか準備出来たのですが、装飾のほうもこれに負けないほどにバタバタの準備となりました。
これについては次回に書いてみます。
※追記
ぬくみE型ですが、イメージを湧かせるために粘土を買ってきて
何か作ってみました。高校で美術の評価がいまいちだったことを思い出しました。
<続く>