エコプロダクツへの道(6)・・・経営革新計画を作る
前回の投稿からの続きです。
エコプロダクツへの道(5)・・・ブースのデザインを考える
http://nukumi.net/?p=1886
さて今回は展示会準備の本筋から少し外れた内容です。
ぬくみちゃんを開発する以前、私は「誰でも使える独立電源というものが実現できないか?」ということで、他企業、大学と合同で太陽電池独立電源を開発したことがあります。
・太陽電池40~80W程度でノートパソコンや蛍光灯照明を使うくらいの電源とする
・発電電力や消費電力を表示するオリジナル装置を備える
・バッテリーに充電して夜も電気を使える
・バッテリーが足りなくなると自動的にコンセントの電源からバックアップを行う
・点灯タイマーやインターバルタイマーを備えて、パソコンからも設定を行える
・発電電力や使用電力をパソコンでモニター出来る
モノとしては考えうる性能を詰めるだけ詰めたのですが、いくつか致命的な欠点がありました。
・複雑にしたからか、完全にソフトウェアのバグを採り切れず、動作が固まることがあった
・PCソフトウェアと連動するということは、PC側のOSが新しくなるたびにその対応をしないといけない大変さがあった
・高性能にしたため、価格が高かった
・誰でも簡単に使えるものにしたつもりが、それなりに複雑で誰でも簡単に使い始めることが出来ないものになっていた
・一般の人が特に望んでいない機能に固執してしまった
結局はいくつかの場所でサンプルをアピールしただけで終わっています。電源ボックスだけでも製品化すればもしかしたら売れたのかもしれませんが、情熱がそこで途切れてしまいました。
福岡の2か所でその遺伝子を受け継いだシステムが細々と稼働しています。
独立電源の世界は、ホビイストの方が太陽電池、充電コントローラ、バッテリーなどを単体で買って組み付けるということが、20年前くらいから特に変わることなく行われているに留まっています。
それを一歩進めて、誰でも簡単に使えるものを作りたかったのですが。。
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ぬくみちゃんに関しては、大学との共同研究も考えたのですが、
・あまりにもスローな製品すぎて研究向きでないかもしれない
・共同で研究しないことによるメリットもある(自分自身で好き放題出来る)
ということで、ぬくみねっと(自分と嫁、時々友人の強力)単体でのプロジェクトとしています。
実用新案も、前職(工場の開発職)の時の経験を活用して自前で作成しました。
発明起業塾(福岡)のつながりで弁理士の方とも仲良くさせていただいてるのでアドバイスいただけたのはとても助かりました。
設計はいつも太陽光発電の仕事で使っている無料のJW-CADで行い、試作はポケットマネーで福岡のアクリル工場にお願いしてます。
毎日の測定検証はもちろん自前でやって、家族でその成果物(お湯)を使っています。
今年からモニターの方に検証していただいております。モニタ品は当然無償貸与です。
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ここまではかなり自前に近い形で開発してきましたが、かといって本格的に世に問うにおいてはさらにいろんな方のご協力が必要となりますし、場合によっては資金のお願いをすることにもなるでしょう。
実は去年の春「ものづくり中小企業・小規模事業者試作開発等支援補助金」というものに応募しました。これに受かることが出来れば、試作や設備投資において補助金を受けることが出来ます。資料作成に結構手間がかかったのですが結局は補助事業者として選定されませんでした。
これが受からなかった理由はいくつも考えられますが、まずは品としての価値を伝えることが出来なかったのだと思います。資料作成の際お手伝いいただいた銀行の担当者さんも「???」とぬくみちゃんについてピンときていませんでしたのですから、内容を評価される方においても同様だったのでしょう。
まあ、ポケットマネーでなんとか出来る範囲の開発だったのですが、それでも先々は資金で困ることもあるでしょう。少数でも量産するとなれば特にそうです。
そこで、まずは我がやすだ発電(自分の仕事の屋号です)が加わらせて頂いている福津市商工会にぬくみちゃんを持って紹介に行きました。商工会さんを潤すほどの経済活動を出来ていない我々ですが、事業資金などの相談をさせていただくことは時にあります。
最初の日は覚えていないのですが春頃だったかと思います。いつもお世話になっている同世代くらいの女性の経営指導担当の方(Kさん)に見ていただいたところ、思うより喜んでくれました。銀行の担当の方に見ていただいた時より良い反応です。
そして、こういうものを作るならば是非「経営革新計画」を策定してほしいという事を言われました。
この経営革新計画とは、中小の事業者が、革新的なサービスや商品を提供することを企画する際、それについて方向性や事業展開内容、経済的なプランなどを計画書として作成し、これを中小企業庁に承認してもらうことで、その事業を公的なお墨付きを得たものとするという、その計画作りのことです。
これまでも折に触れて「経営革新計画」の件は紹介を受けておりましたが、世の中に受け入れられるような事業を出来ていなかったため取り組むことはありませんでした。
しかし、ぬくみちゃんは少なくとも自分が天気の日に楽しんでいます。その人のライフルタイルにかっちり合えば実用品として使ってもらえるでしょう。
そして、経営革新計画の承認があれば商工会の広報などで紹介をいただけますし、資金調達や、先の補助金を受ける際にもかなり有利となるようです。
ということで、恐らく梅雨の頃に再度商工会にてKさんに経営革新計画を作成する旨伝えました。商工会としては経営革新計画の作成においてアドバイザーの方をご紹介いただき、計画作成のお手伝いをしていただけるということでした。
そこから、
・自分で計画書を作成
・アドバイザーの方に指導を受けて、計画書を推敲
・県の中小企業振興センターの方との面談、計画書の修正
・中小企業振興センターの方にて県庁の審査担当の方に内容説明
という過程を経ました。その際には、機能とメリットを強調していた自分の元案から、「スローライフを楽しむ」というぬくみちゃんの面についてアピールする、という形に修正がありました。確かに内容的に分かり易いものになったとおもいます。
そうして11月頭ころ、
承認を頂きました!計画書については途中の修正やダメ出しが少なかったようで、良いプランになっていたとお褒めをいただきました。
展示会当日、展示の片隅に飾らせて頂きました。
「おお、経営革新もとっているのか!」と気づいてくれた人も、僅かですがいました。
分かる人には分かる証のようです。
この経営革新計画の承認を生かすも殺すも自分次第です。活用しながら頑張っていきたいところです。
<続く>