ぬくみ実験(3)底面の反射板の効果
温水箱の主な加熱手段はやかんに直接当たる光です。
一方、反射材を使って反射した光もやかんに当てることが出来ればさらに加熱能力が高まりそうです。
一連の実験を始めるにあたって、底面に敷く反射材としてアルミ板を専門業者にカット依頼しておりました。
が、指示間違いをやらかしてしまいました。底の広さより大きなアルミ板になってしまい、そのままでは温水箱内に収めることが出来ません。ほんの少しカットすればいいのですが、2mmの厚さのアルミ板を綺麗にカットするのは、実はちょっと手間ですし、綺麗に切るための工具も持っていませんでした。
そこで最初の実験では、アクリルで出来た温水箱の下にアルミ箔を敷きました。
まずはアルミ箔の有無による違いがないか実験しました。
片方はアルミ箔を温水箱の下に敷き、もう一つはアルミ箔なしで木の台が透けて見える状態です。
背面の反射板は取り除いています。
黒ほうろうやかんに2リットルの水を入れて加熱しました。
結果のグラフからは、アルミ箔を敷いたほうが加熱能力が高いように見て取れます。最高温時に1.4度ほどほどの温度の開きが出ました。
8時過ぎ、太陽光が直接当たりだしたあたりから差が出ているように見えます。
太陽が南側に来た時に効力を発揮する背面の板と比べて、こちらはより広い太陽の方位で加熱を助ける役割を果たしているようです。
次に、アルミ箔を温水箱の下に敷く場合と、温水箱の内側に敷く場合とを比べました。
背面の反射板は外しています。
結果のグラフからは、アルミ箔が内側にあるほうが加熱能力が高いように見えます。
温水箱の下にアルミ箔があると、太陽光はアルミ箔に届くまでまずアクリルを通過しないといけません。この時、エネルギーの一部は熱に代わってしまいます。
また通過後にアルミ箔に当たったとしても、アルミ箔の反射率も100%でなく、一部熱に代わります。こうして、光のエネルギーによる熱が外部に逃げやすくなるのではと考えます。
一方で、アルミ箔が温水箱の内側にあれば、アクリルの底板を通過しませんし、またアルミ箔で熱が発生しても、その熱は温水箱の内部に留まりますので、よりやかんの水温を上げるのに適しているように思われます。
(3)
さて、ここでようやく時間の余裕が出来たので、切断用の工具を買い、アルミ板を温水箱の中に入れることが出来るサイズに切断しました。
そして、温水箱の内側の底に、アルミ「箔」とアルミ「板」をそれぞれ敷いて比較実験を行いました。
この時は平面の背面反射板を取り付けておりました。
結果、両者に大きな違いは出ませんでした。12:00頃にわずかにアルミ箔の加熱が上回っているようにも見えます。
次に、同条件で、背面反射板を取り除いた実験を行いました。
結果、11:00以降にアルミ箔を内側に敷いた側のほうが加熱能力が高く見られます。
これらより、アルミ箔とアルミ板では、加熱への寄与は同等か、またはアルミ箔のほうが若干高いという結果が得られました。
今回のアルミ板は、アルミ板を切断する業者さんに「シルバー色」として注文しました。
これがどのような風合いなのかは注文しないとわからなかったのですが、実際は耐候性を高めるためにアルマイト処理がされていて、それで艶消しのように見えていました。
顔を映しても映らない状態です。
そのため、アルミ板に当たった光は綺麗に跳ね返らずばらけた方向に反射し、やかんに当たらずに逃げているのかもしれません。
一方でアルミ箔は、顔の輪郭がぼんやりわかる程度には鏡の性質がありますので、今回のアルミ板よりは加熱への寄与が高かったのでしょう。
これらをまとめると
・底の反射材は加熱能力を高める効力あり
・底の反射板は温水箱の外側より内側に設置するほうがよさそうだ
・アルミ箔は薄いとはいえ艶消しのアルミ板と比較して変わらない程度の加熱への寄与を実現する
・反射板に重要なのは光を散乱させずに反射する能力ではないだろうか
反射板はさらに条件を振ることが出来そうですが、ひとまずはここまで。