ぬくみ実験(11)温水箱を向ける方位
さて、これまでいろんな実験をやってきました。今回が11回ということは10種類ということですね。
今回、かなり重要な要素だと思われる、
「温水箱をどの方位に向けたらどのように水が温まるか」
を報告したいと思います。
お住まいのベランダ等の据付場所は、必ずしも真南を向いていなかったりして、条件がさまざまだと思いますので、これを研究しておくことは結構重要でしょう。
実際はかなり初期からいろいろと試していたのですが、天気に恵まれないこともあり、あまり好条件での結果とは言えません。
それでもひとまずはご紹介させていただければ。
測定は畑で行っています。温水箱はぬくみB2型です。
完全な平原でテストするのが好ましいでしょうが、東側には林があるので、季節にもよりますが8時頃までは太陽の直射があたらない状況です。
まずは、写真の通り南と、南から45度西を向けた場合との比較です。背面の板はなく、温水箱の下にアルミ箔を敷いています。
このころはまだ黄砂が多くなかなか60度を超えることはありませんでした。
結果としては真南を向けた場合は正午あたりに西45度の設置より温度が若干高くなりました。背面の反射板がなくても若干は方位に対して特性が変わるようです。
そして夕方になると、西側45度のほうが遅い時間帯に温度のピークを持ちました。そして西側45度のほうが僅かですが高温となりました。
ひとまず、温水箱には方位による温まり方の違いがあることがわかりました。
そして6月になりました。空梅雨気味で、空は曇っていましたがしっかりとした雨は降っていませんでした。
今度は背面と底面の内側に、アルミの反射板を取り付けた状態です。
この日は光量が少なかったようで、2時頃にピークがきました。
5/16の結果に特性は近いといえば近いのですが、大きな差は現れていません。これは雲で光が散乱して、反射板による違いがほとんど現れなかったことによるのでしょう。
翌々日に同じ実験を行いました。前回よりは空の状態が若干マシだったようです。
6/23日よりは両者のグラフに差がでたようです。
次は南東側45度に温水箱を振ってみました。
午前はごくわずかに南東側に向けた方の能力が高かったのですが、14時には逆転して南向きのほうが3度ほど水温が高い状況になりました。
反射板が南東側のため、保温の効果がある日射が夕方にある程度遮られたため起きたのではないかと思います。
今度は西側90度にしっかり振ってみました。
午前から14時過ぎまでの加熱状況は西向き側は南向きより結構低いです。
一方夕方は、南向きが15:30にはピークを迎えて早々に温度が下がっていくのに対して、西向き側は16時過ぎにピークの中心があり、最終的な温度にも4度ほどの差が出ています。
夕食用として考えると、西側にぐっと温水箱を振ることは有りなのではと思います。
そして逆に東側に向けた実験も行いました。この日は午前曇りで午後から小雨という良くない状況でした。午前はそれほど変わらず、午後は東側に向けたほうが若干温度が低いという結果です。
東側に林があるためか、また午前中は気温の上昇がメインの加熱要素なのか、東側に向けても極端に午前の加熱能力が上がることはありませんでした。
<今回の結果>
データ品質はあまり良いとは言えませんが、今回確認できたことは
(1)背面の反射板が無い状態でも、ある程度温水箱の方向依存性がありそうです。
このことで、温水箱への光の侵入の仕方により、お湯の温まり方が結構違うように考えられます。
一方で、温水箱の種類を変えても(A2型~B2型)、温まり方が殆ど変らなかったという結果もぬくみ実験(10)でありました。
温水箱の種類が変わると光の侵入の仕方が(どれだけ透過して、どれだけ反射するか)変わってくると思いますが、違いが殆ど出なかったことには驚きました。
ひとまず、温水箱の若干のデザインの違いより、温水箱の方位のほうが温度の移り変わりに大きな影響を持つのではないか?という説を立てることが出来ます。
(2)背面の反射板はある時間には加熱をある程度促進し、ある時間には光を遮って加熱を妨げる諸刃の剣ということがわかりました。
夕食用に使うとするならば、夕方に温度をキープできるように狙って西側に向けておくなどの設置法が有効なようです。
本当はオールマイティな反射板・オールマイティな温水箱のデザインがあって、据えて放置しておきたいところですが、なかなか難しそうですね。
難しいだけ、いろんなトライの余地がありそうで楽しみです。